2005.08.11
労災保険は、“労働者=働いている人”がケガなど災害を負った場合に医療費や休業損害の給付が行われる為、原則として会社社長や、取締役など“使用者=働かせている人”は対象とはなりません。
しかし、中小企業の社長さんは日常の業務の実態が、一般の従業員と一緒に作業場で働いたり営業活動をしたりと、社長と労働者の二役をしている事が多いのが実情です。
労災保険の特別加入制度とは、社長がこなす二役のうち、“労働者”として仕事をしている時に負ってしまったケガなどの災害は、いくつかの条件を満たしたら“特別に”労災保険が適用される制度です。
今回は中小企業の社長、役員を中心に労災保険の特別加入ついて、加入条件等をレポートしたいと思います。
中小企業の事業主及びその家族で業務に携わっている者
かつ労働保険事務組合に事務処理の委託をしている事業所
例:不動産業を営む、社長、社長の妻、社長の息子、その他従業員10名の会社など
参考 表T 労働保険事務組合に事務委託できる企業
| @ 金融業、保険業、不動産業、小売業は常時50人以下の労働者を使用する事業 |
| A 卸売り業、サービス業は常時100人以下の労働者を使用する事業 |
| B @,A以外の事業は常時300人以下の労働者を使用する事業 |
注:例えば小売業などが年末セールなどの繁忙期にアルバイトをたくさん雇った為50人を超えてしまっても普段の常態で50人以下であるならば構いません。
★ 社長や妻、息子は当該事業に使用される労働者とみなされて保険給付を受ける事となります。
労災保険では一般の労働者は主に以下のような給付がされます。
表U 主な労災保険の給付
| 名称 | 給付理由 | 給付内容 |
|---|---|---|
| 療養(補償)給付 | 仕事中または通勤中にケガや病気を負った | 医師等による診察や処置など |
| ※ 休業(補償)給付 | 仕事中または通勤中に負ったケガや病気で4日以上仕事を休んだ | 過去3ヶ月の賃金を平均した1日当りの額の約80%が休んだ日毎に支給 |
| ※ 傷病(補償)年金 | 仕事中または通勤中に負ったケガや病気が一定期間過ぎても治らない。 | 1年毎に過去3ヶ月の賃金を平均した1日当りの額を状態に応じた日数分支給 |
| ※ 障害(補償)給付 | 仕事中または通勤中に負ったケガや病気がもうこれ以上良くならない状態で障害が残った。 | 1年毎に過去3ヶ月の賃金を平均した1日当りの額を状態に応じた日数分支給 |
| 介護(補償)給付 | 仕事中または通勤中に負ったケガや病気が治らない、又は障害状態にあって介護が必要の場合 | 介護の状況に応じ決められた額を支給 |
| ※ 遺族(補償)給付 | 仕事中または通勤中に負ったケガや病気が原因で死亡してしまった。 | 遺族の数に応じて過去3ヶ月の賃金を平均した1日当りの額により算出された給付を行う |
| ※ 葬祭料(葬祭給付) | 仕事中または通勤中に負ったケガや病気が原因で死亡してしまった。 | お葬式をあげる者に対し、過去3ヶ月の賃金を平均した1日当りの額により算出された額を支給 |
●表U※の給付のように、一般の従業員は“過去3ヶ月の賃金を平均した1日当りの額”(=平均賃金といいます)を基準に給付がなされますが、会社の社長は役員報酬を貰っているので、従業員と同じ内容の仕事をした分の賃金がいくらになるか明確にわかりません。
表V 特別加入保険料算定基礎額表
| 給付基礎日額(円) | 保険料算定基礎額(円) |
|---|---|
| 20,000 | 7,300,000 |
| 18,000 | 6,570,000 |
| 16,000 | 5,840,000 |
| 14,000 | 5,110,000 |
| 12,000 | 4,380,000 |
| 10,000 | 3,650,000 |
| 9,000 | 3,285,000 |
| 8,000 | 2,920,000 |
| 7,000 | 2,555,000 |
| 6,000 | 2,190,000 |
| 5,000 | 1,825,000 |
| 4,000 | 1,460,000 |
| 3,500 | 1,277,500 |
| 3,000 | 1,095,000 |
| 2,500 | 912,500 |
| 2,000 | 730,000 |
給付基礎日額=一般労働者の平均賃金に当たります。
保険料算定基礎額=この額に業種ごとに決められた労災保険料率を掛けて納めるべき保険料が決まります。
例:小売業で社長と息子さんに取締役の会社で、3人とも給付基礎日額が10000円。OX年の4月よりOO年3月までの保険料は?
保険料算定基礎額3,650,000円×3=10,950,000
10,950,000×5/1000(小売業の労災保険料率)=54,750
1年間の保険料は54,750円となります。
事業主や自営業者だからといって必ずしも労災保険が受けられないとは限りません。皆様のお知り合いに加入条件に当てはまりそうな方で、是非労災に入りたいと思っていらっしゃる方がいたら是非教えてあげて下さい。