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給与と社会保険料の関係

2005.05.11

給与には、基本給や通勤手当などの『支給』があり、その中から社会保険料や所得税など『控除』を差し引いた額が、銀行振込などにより 皆様のお手元に渡ります。これはごく当たり前の、単純な話です。

しかし 『控除』のうち、社会保険料については 若干ややこしい制度(法律)があるため、給与計算が間違っているのではないか? と誤解されがちな点があります。

そこで今回は 今までにお受けしたご質問などをもとに、Q&A形式で給与と社会保険料の関わりにおける素朴な疑問にお答えいたします。

<以下、健康保険=健保 厚生年金=厚年 雇用保険=雇保 と略します>

【Q1】 給与が同じでも社会保険料が違うことがある?

福山さんと竹原さんは、2人とも4月1日に入社した新入社員ですが、基本給が同額なのに健保と厚年と雇保の額が違ってます。福山さんのほうが1歳年上ですが、そのためですか?

【A1】 社会保険料は通勤手当も含めた総支給額≠ナ決定

基本給以外の手当もないとすると、おそらく2人は通勤手当が異なるのではないでしょうか? 通勤手当は、所得税はかかりませんが(⇒原則10万円まで)、健保・厚年・雇保の保険料計算には含まれます。

なお、年齢や扶養家族の人数は保険料には影響しません。また、健康保険を使用して病院で治療を受けた回数が多かったとしても、保険料が変わることはありません。

【Q2】 社会保険料は日割計算される?

竹原さんは4月1日入社ですが、三原さんは4月16日入社です。4月分の社会保険料は三原さんのほうが安くなるのでしょうか? また、4月の給与で健保と厚年が引かれておらず本人は喜んでますが、いいのでしょうか?

【A2】 社会保険料は日割計算しない

4月分の健保・厚年を引くのは4月末日現在の在職者ですが、入社日が月の途中でも、保険料の日割計算はありません。一方、雇保は給与に応じて一定の率を乗じますので、竹原さんと三原さんとで違いは生じるはずです。

また、原則として健保と厚年の保険料は翌月の給与で引くので、4月分は5月の給与で引かれます。雇用保険料は、給与(支給額)があれば当月から引かれます。

【Q3】 給与が下がっても社会保険料は下がらない?

西条さんは4月の人事異動に伴い、基本給が30万円から25万円に下がりましたが、健保や厚年が前月と同じ額引かれている、と泣いています。保険料が下がることはないのですか?

【A3】 原則として3ヵ月後の保険料から改定

健保・厚年は8月の給与(=7月分保険料)から、下がった後の給与に見合った額に変わります。下がった額がそれほど大きくない場合は、保険料が変わらないこともありますが、例えば定年退職日の翌日から嘱託再雇用という場合は、給与額に応じて保険料も変わります。

なお、西条さんの場合は給与が下がったときの例ですが、給与が上がったときも同様に3ヵ月後に改定されます。

【Q4】 春先に残業が多いと社会保険料が高い?

経理担当の安浦さんは、3〜5月は決算業務で残業が多いため、ほぼ同じ年収の同僚よりも健保や厚年の保険料が高くなると言われていました。これはどういうことなのですか?

【A4】 算定基礎届の仕組みが原因

健保・厚年の保険料は、『入社したとき』と『Q3のようなとき』のほか、定時決定という制度で決定されます。これは、毎年4・5・6月の給与を平均し、1年間の保険料額を算出する手続きです。年収ではなく、上記3ヵ月を基に保険料が計算されているのです。

安浦さんのように、普段の月よりも4・5・6月の給与額が多くなると、保険料に影響します。他の月の給与額が低くても、基本給などが大きく変動しない限り保険料は改定されません。

【Q5】 退職する月は社会保険料が多く引かれる?

3月31日で退職した尾道さんは、3月給与で健保・厚年が多く引かれていたうえ、4月の給与(3月の残業代)から雇保が引かれていて怒り心頭でしたが、これはミスですか?

【A5】 「健保・厚年は翌月控除」がポイント

ミスではありません。3月給与では2月分の社会保険料に合わせて3月分も引いています。Q2の例のとおり、本来は翌月に引きますが、尾道さんの場合4月に保険料を引けるだけの給与が支給されるか不確定であったため3月に引かれたのです。

これに対し雇保は、退職後の給与でも支給があれば引くので、4月給与でも引かれます。なお、Q2の例のとおり、3月30日の退職であれば、3月分保険料は引かれません

【Q6】 建設業勤務者は雇用保険料が高い?

建設会社の経理部勤務の倉橋さんは、給与明細書を見ていて雇用保険料が高いことに気付きました。建設会社勤務でも、事務職なら料率は違うはずですが、これは会社の規模などにもよるのでしょうか?

【A6】 建設の事業≠ノかかわる者だけ1000分の9

これは料率設定ミスです。雇保の保険料は、「建設の事業」「農林水産業」「清酒製造業」に従事する者には給与額に1000分の9を乗じますが、上記以外の一般の事業の従事者には給与額に1000分の8を乗じて算出します。

倉橋さんは建設会社の従業員とはいっても経理業務担当ですから、1000分の8が正しい料率となります。

【Q7】 労災保険料はいつ引かれる?

黒瀬さんは業務中に階段を踏み外して足首を捻挫しました。病院での治療には労災保険を使用したので窓口負担はゼロでしたが、治療から何ヶ月過ぎても給与から労災保険料が引かれていません。黒瀬さんは「ヤブヘビになるから何も言わないでおこう」と言ってますが……

【A7】 労災保険料は社員負担は一切なし、全額会社負担

1回の通院で完治したケガても、障害が残るほどの大ケガであっても、ケガをした社員から労災保険料を引くことは一切ありません。会社が、社員に支払った賃金に対して一定率を乗じた額の労災保険料を全額負担しています。

以上、このような事務に携わっている人にとっては初歩的な内容ですが 社会保険の制度にあまり馴染みのない方にとっては、とてもややこしく難解な制度に思われがちです。しかし、実は至って単純明快で、会社によって異なることのない、ほぼ全国共通の制度です。

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