いーさあびすビジネスにすぐ役立つ情報提供サイト

いーさあびすについて | お問合せ

こんなときどうする? 社内トラブル対応策

2005.02.14

「こんな社員がいるんですけど、どうしたらいいですか?」

社内のトラブルは、様々な労働問題に発展する可能性を含んでいるため単純な「正・否」の判断だけではなく、慎重な対応が求められます。

今回は、特に相談の多い事例の中から
「無断欠勤し、所在不明となってしまった社員への対応」
について、その対応方法を特集いたします。

無断欠勤をし、所在不明となってしまった社員

「入社して半年を経過した社員が突然無断で出勤しなくなり、困っています。自宅や携帯に連絡をしても、一向に連絡がつきません。無断欠勤が続いていますので、懲戒解雇してしまってもかまわないでしょうか?」

ステップ1 『解雇が妥当かを考える』

社員を懲戒解雇とする場合には、懲戒となる相当の理由が必要です。

無断欠勤社員によって会社が被る損害は……

  • 欠勤している社員の業務を他の社員へ割り振ることが必要
  • 他の社員への負担増加、職場環境の悪化
  • 社会保険料の徴収困難、会社負担額の増大

などが考えられます。これらは会社・社員全体にとって甚大な損害です。よって今回のケースでは、懲戒解雇もやむなしであると言えます。

ちなみに、無断欠勤が月に2回あったから懲戒解雇とするのは(月に2回の無断欠勤も会社側からすれば言語道断ではありますが……)事実に対して懲戒が重すぎとなり、妥当な懲戒処分とはいえません。

参考

懲戒解雇とするには、就業規則の懲戒規定の中に<無断欠勤○日以上となったものは懲戒解雇>またはこれに準ずる規定が必要となり、必ず労働基準監督署での認定が必要となります。

また、就業規則の退職規定の中に<無断欠勤○日以上となったものは退職扱い>またはこれに準ずる規定があれば、懲戒解雇は出来ませんが、一般の自己都合退職と同様の手続きが出来ます。

注1:無断欠勤の日数については後段をご参照ください
注2:無断欠勤についての規定を「連続○日」とするか「1ヶ月あたり○日(断続)」とするかは各社の就業規則によります

ステップ2 『会社が出勤するように催促した証拠を残す』

無断欠勤社員の対応で、一番留意しなければいけないのが
「社員が戻ってきて、社員としての権利を主張してくる可能性」
です。たとえば、手続きをとり解雇となったにもかかわらず、後日突然会社にやってきて

「解雇は聞いていないからまだ社員だ!」
「解雇扱いにするのなら解雇予告手当請求する!」
「今までの欠勤の期間は有給扱いに!」

など、会社側からは考えられないような要求をしてくることも考えられます。

このような事態になっても大丈夫なように無断欠勤社員の要求を許さない万全の対応が求められます。

そのなかで、まず第一に取り組むのが「社員に対しての連絡をとるよう努力し、その証拠を残すこと」です。本人に電話連絡をすることはもちろん、連絡がつかないようであれば実家へ連絡することも必要です。(犯罪等に巻き込まれている場合も考えられます)

目安としてですが、3日以上連続して欠勤が続くようであれば一度自宅を訪問して不在を確認し、出勤を促すメモなど残し会社が出勤するよう催促をしていた事実を残しておくべきでしょう。

このような催促をしていない場合、紛争となった際には「会社側が無断欠勤を黙認していた」とみなされる可能性も十分にあります

ステップ3 『実際に退職手続きをとる』

A. 無断欠勤が2週間以上続いた場合

2週間以上の無断欠勤が続き、就業規則の懲戒事由に具体的な記載がある場合、厚生労働省令の懲戒規定に該当するものとして、懲戒解雇とすることが出来ます。労働基準監督署で認定を受け、即日の解雇が可能です。

就業規則の懲戒事由に規定が無くても、退職事由に「無断欠勤2週間以上となったものは退職扱い」規定があれば自己都合退職として、手続きが可能です。

参考<なぜ2週間?>

民法第627条1項の「雇用契約の解約」の条項が根拠としてあります。2週間労働の提供がなされなかった場合、労働契約の無言の解約の意思表示があったものとみなされるため、上記の退職が可能となります。

B. 無断欠勤が2週間未満の場合

就業規則の懲戒規定の中で「無断欠勤1週間以上となったものは懲戒解雇」のような規定があったとしても前述の民法の規定により、労働基準監督署では認められません。

この場合、無断欠勤社員を解雇とする場合には普通解雇の手続きとなります。解雇予告をして、その30日後に解雇が成立します。

普通解雇に際して難題となるのが「解雇予告」をどのように通知するかです。本人と連絡を取ることが出来ないわけですから、解雇を伝えることが出来ません。

簡易裁判所に「※公示送達」の手続きをとることもできますが、一般的でありません。現実問題として、解雇予告が困難な場合には、その有効性は疑問が残りますが、無断欠勤社員の親族に通知し了解を取っておくようにしている会社が多いです。

※公示送達

簡易裁判所の掲示板に解雇予告を掲示して一定期日経過後解雇予告が本人に伝達されたとみなすこと

また、就業規則の退職規定の中で「無断欠勤1週間以上となったものは退職扱い」という規定があればこちらは退職であるため、就業規則がそのまま適用され1週間後の自己都合退職となります。(一部学説では、2週間までは退職も無効としているものもあります)

ステップ4 『給与の支払い』

給与締日の関係で多くの場合、無断欠勤が始まる前の給与についてはすでに働いた分の労働の対価として、給与支払いの義務が生じます。

しかし無断欠勤が続いている社員は、安否がわからない上に前述した通り、犯罪等に巻き込まれている可能性があり、支払った賃金が悪用されることも十分に考えられます。

このような場合には、賃金の支払いを一時的に停止し会社の預かり金として保管、社員が現れて支払いを申請した時点で支払えば問題ありません。たとえ社員の家族が支払いを要求しても、給与支払いには「本人へ直接支払う」という原則がありますのでその要求に応じる必要はありません。

会社は様々な考えを持つ人が同じ職場環境で働いています。その中では予期しえないトラブルが発生することもあります。日頃から社内トラブルが起こりにくくするため社内教育を実施するとともに就業規則などの社内規則を整備し(法律に則したものかを確認し)、万一の事態が起こっても対応できる体制をとっておくことが肝要です。

ページ先頭へ

プライバシーポリシー | 免責事項